見抜き見通し

 ある時、教祖御存命中に一人の狂者が駕に乗せられて参って来ました。教祖様はその時その者に向って、「おまえの親はおまえの弟に二千何百円かを分配してやれと遺言している。それにおまえはそれを弟にやらずに皆我がものにしているやろう。」とおっしゃった。するとその狂者は「そんな事はない、自分は金を持ってはいぬ」と言って承知しなかった。そこで御教祖の申されるには、「無いとは言わさん。知らんとは言わさん、神が入込んで勘定してある、後には未だ三千何百円余るでないか。」と明言遊ばされたので、その為狂者も喫驚して赤面したまま逃げて帰ったという事であります。