飯降伊蔵

教祖は常に、『伊蔵さん、この道は陰徳を積みなされや。人の見ている目先でどのように働いても、勉強しても、陰で手を抜いたり、人の悪口を言うていては、 神様のお受取りはありませんで。何でも人様に礼を受けるようなことでは、それでその徳が勘定済になるのやで。
 ほしい、おしい、かわい、にくい、うらみ、はらだち、よく、こうまん、この八つの心は埃であって、この埃の心が病いの元となりますのや。』と仰せになって、陰徳の尊いことをお諭しになったので、伊蔵は毎夜々々お屋敷からの帰途、人知れず壊れた橋を繕ったり、悪い道を直したりして、教祖の御教えの旨を実行したのであった。
平成七年十一月発行「新版 飯降伊蔵伝」植田英蔵著(善本社)より

御本席が、ある時米粒を三粒手のひらにのせて「人間はこの米粒三粒の様でなければいかん、これは口と心と行いとの三つであって、この三つが揃わにゃならん。」とお側の人にお教えなされたことがありました。